WAKU JEWELRY Blog

和久譲治のジュエリーブログ

 

WAKUコレクション(11)

 

Alun Roberts

 

 

 

 

第二次大戦前アメリカ人のMitchel Maerはロンドンに渡り、graverのHorace Attwoodとアクセサリーの会社Metalplasticsを始めました。戦後再び活動を始めた彼らは、高品質のアクセサリーを作りたいと考え、高いクオリティの金属原型を作れる技術を持ったジュエラーを探します。そしてAttwoodが見つけ出したのがAlun Robertsでした。

AttwoodとRobertsは一つのスタイルにたどり着きます。
ビザンツ風のバロック様式です。赤やグリーンの深い色調の大きめのペースト(ガラス石)をジュエリーと同じ石留にして、filigree(線状細工)と合せます。テーマはheartsやdolphonsなどが多く作られました。これらの商品は「Michel Maer」の名前で販売されています。

ところで、同じテーマで作られたこの作品は「Original by Robert」の刻印が付いています。そして写真でも解かるように、ジュエリーの石留を用いていますが鋳造のパーツが使われていません。センターの石枠や撚線は手作りされています。そのパーツにプレスの銅合金石枠を、全てロー付けで組み合わせています。「Michel Maer」の商品はRobertsが金属原型を作り、その鋳造のパーツにプレスの銅合金石枠をロー付けして仕上げているはずです。そのためにRobertsは呼ばれたのです。

「Original by Robert」刻印の作品は1940sに「Michel Maer」の高級ライン商品を作りながら、それでも飽き足らなかったジュエラーのRobertsが、すべてジュエリーの様な細工にこだわり、作り出した貴重なアクセサリーです。

AttwoodとRobertsが「Michel Maer」の高級ラインを考えるときに参考にしたのが、これまでに紹介してきた1930sの「Hove'」だったと思います。Robertsの他の作品を見るとよく解ります。「Hove'」の徹底した「ジュエラーの手作り」へのリスペクトが、Robertsに「Original by Robert」を作らせたのだと思います。

 

 

© 2019 JOJI WAKU Blog. All rights reserved.